★★★
2018年-2022年
全7巻

●あらすじ(GEMINIより)
舞台は紀元前4世紀の古代ギリシャ。都市国家アテナイの村に暮らす青年・デメトリオスは、草食系で運動音痴な壺絵師の見習い。争いごとや筋トレが大嫌いな彼は、周囲のたくましい男たちに揉まれながら、大好きな絵を描く日々を送っていた。しかしある日、彼が暮らす村が隣のポリスとの争いや村長の身勝手な思いつきによって大危機に陥ってしまう。
争いを収めるよう周囲から無理難題を押し付けられ、追い詰められたデメトリオスは、逃げ込んだ大きな壺の中で雷に打たれる。目を覚ますと、そこはなんと紀元前ギリシャではなく、昭和39年(1964年)の開会式を間近に控えた「東京」だった。
全裸のまま1964年の東京にタイムスリップしてしまったデメトリオスは、心優しい落語家の師匠や市井の人々に助けられ、カルチャーショックを受けながらも現代日本の文化に触れていく。特に彼が衝撃を受けたのは、世界中から選手が集まり、流血の殺し合いではなくルールに則ってスポーツで平和的に競い合う「オリンピック」の熱気と精神だった。
東京で現代のスポーツや知恵、手軽で美味しい和食、さらには人々の温かい人情に触れたデメトリオスは、何かしらのトラブルや雷をきっかけに再び古代ギリシャへと戻される。そして、東京で学んだ「スポーツの精神」や「知恵」を駆使し、村の難局や村長からの嫌がらせを突拍子もない方法で解決していくのだった。
古代ギリシャの全裸精神と昭和の東京オリンピックの熱気が交錯する中で、デメトリオスは古代と現代を行き来しながら、真の「スポーツマンシップ」と自分自身の成長を見出していく。『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリが描く、爆笑とノスタルジーが詰まったタイムスリップ歴史コメディ。
●感想
『テルマエ・ロマエ』で知られるヤマザキマリ先生の『オリンピア・キュクロス』(全7巻)を読み切りました。
大好きな『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ先生が、今度は「古代ギリシャ×昭和の東京オリンピック」をテーマに描くタイムスリップコメディということで、読む前からかなり期待値を上げて手に取ったのですが……
率直な感想を言うと、期待していた分だけ期待外れに感じてしまい、残念な読後感となってしまいました。
マンネリ気味なストーリー展開
一番気になってしまったのは、「展開のパターンが『テルマエ・ロマエ』とほぼ同じ」という点です。
主人公が古代で問題や困難にぶち当たる
逃げ場や何かしらのきっかけ(今回は壺と雷)で現代日本へタイムスリップ
現代日本のカルチャーや知恵にカルチャーショックを受ける
その知恵を持ち帰って古代の問題を突拍子もない方法で解決する
『テルマエ・ロマエ』を読んだ時のような「そう来たか!」というフレッシュな驚きやカタルシスがあまり感じられず、「またこのパターンか……」とデジャヴ感(既視感)が拭えませんでした。
設定の突飛さに反して、内容の深みが物足りない
また、「古代ギリシャの全裸文化」と「1964年の昭和レトロな東京」という設定の組み合わせ自体は非常に面白いのですが、ストーリー全体の掘り下げや内容の深みという点では少し物足りなさを感じてしまいました。
古代ギリシャの歴史雑学や昭和の雰囲気などは描かれているものの、展開がパターン化している分、キャラクターの葛藤やドラマとしての盛り上がりに欠け、どこか浅いところで終始してしまったような印象です。
まとめ
『テルマエ・ロマエ』という大ヒット作があるからこそ、どうしても比較して厳しく見てしまった部分はあるかもしれません。
単体のライトなギャグ・歴史コメディとして割り切って読めばサクッと楽しめる作品なのかもしれませんが、「テルマエ・ロマエを超えるような新境地」を期待して読むと、少し肩透かしを喰らってしまうかもしれません。
ヤマザキマリ先生の描く歴史や異文化の描写自体は相変わらず魅力的だっただけに、ストーリー展開にもうひとひねり欲しかったな……というのが正直なところです。