★★★★
1986年-1996年
全6巻

笑ゥせぇるすまん は、藤子不二雄A によるブラックユーモア漫画である。
主人公は黒いスーツに身を包んだ謎のセールスマン、喪黒福造(もぐろ ふくぞう)。彼は「ココロのスキマ、お埋めします」の決め台詞とともに、現代社会に生きる悩みや欲望を抱えた人々の前に現れる。喪黒は相手の願望を見抜き、それを叶えるための手助けをするが、必ず「約束事」を守るよう忠告する。しかし多くの人々は欲望に負けたり、忠告を軽視したりして破滅への道を歩んでしまう。
物語は基本的に一話完結形式で進む。登場するのは、出世を望む会社員、孤独な老人、見栄を張る主婦、趣味にのめり込む男性など、ごく普通の人々である。彼らは日常生活の中で何らかの不満や欲求を抱えており、喪黒の力によって一時的に願いを叶える。しかし欲望には際限がなく、幸福を手にしたはずの人物はさらに大きな欲望へと突き進み、最後には自滅してしまうことが多い。
本作の魅力は、人間の弱さや欲深さを鋭く風刺している点にある。喪黒自身は直接悪事を働くわけではなく、あくまで相手に選択肢を与えるだけである。そのため、悲劇の原因は本人の欲望や慢心にあることが多い。読者は登場人物に共感しながらも、その結末に恐ろしさを感じることになる。
連載の原型となった作品は1968年の 黒ィせぇるすまん で、その後1989年にアニメ化された 笑ゥせぇるすまん が大ヒットし、全国的な知名度を獲得した。独特の不気味さと社会風刺、そして「ドーン!!」の決めポーズは今なお広く知られている。
単なるホラーやギャグではなく、高度経済成長後の日本社会や現代人の心理を映し出した寓話的作品として評価が高い。藤子不二雄A作品の中でも特に大人向けの代表作であり、人間の欲望と幸福のあり方を問いかける名作である。
なお、漫画は雑誌掲載や再編集版を含めると巻数が複雑だが、作品としては1970年代から1990年代にかけて断続的に発表された長期シリーズとなっている。
●感想
これほどにブラックユーモアな作品はなかなかないと思う。
出会ったのが運の尽き。
恐ろしい。