★★★
2021年-2023年
全2巻

●あらすじ(GEMINIより)
『アラビア猫のゴルム』は、世界中を旅し様々な国で暮らしてきた漫画家・ヤマザキマリが、若き日に滞在していたシリア・ダマスカスで出会った一匹の野良猫「ゴルム」との、可笑しくも切ない愛おしい日常を描いたノンフィクション・エッセイコミックです。
かつて著者がシリアで生活していた頃、住まいの敷地にふらりと現れたのが、鋭い眼光と野性味あふれる風貌を持ったオス猫のゴルムでした。日本の温厚な飼い猫像とはかけ離れ、過酷な中東の環境を生き抜いてきたゴルムは、人間に安易に甘えることを許さない圧倒的な尊厳と「アラビアの野良猫」としての誇りを漂わせていました。
著者は、一筋縄ではいかないゴルムの気高さに惹かれ、一定の距離を保ちながらも言葉を超えた確かな絆を育んでいきます。過酷な砂漠気候や独特な文化が根付くシリアの地で、人間と動物という枠組みを超え、対等な「生命体」として心を通わせ合う日々。しかし、異国での生活や流転する人生の中で、やがてゴルムとの別れの時が訪れます。
本作の魅力は、単なる「可愛いペットとの思い出話」にとどまらない点にあります。ヤマザキマリ特有のグローバルで客観的な視点とユーモアあふれる語り口を通して、中東・シリアの豊かな風土や人々の温もり、そして人間の都合には決して媚びない野生動物のたくましさが鮮やかに描かれています。
後に情勢が激変してしまうシリアの「かつての平穏で美しかった風景」や街の空気感が温かなタッチで表現されており、かつて確かにそこに存在したかけがえのない時間への愛おしさが胸を打ちます。
ひと目見たら忘れられない野性的な猫・ゴルムとの出逢いと別れを通じて、生きることの逞しさと命の美しさを教えてくれる、全2巻に深い余韻が詰まった至高のアニマル・エッセイ作です。
●感想
海外で野良猫を可愛がって、飼い猫にする話なんだけど、よくこれで漫画になるなぁ。